昔の話 ①某有名経絡治療大家へ弟子入り

 

昔の話です。

 

 

決して大成功とは言えない鍼灸師人生ですが、

自分のために、書いてみます。

 

 

高校卒業してすぐに、

鍼師・きゅう師、

あん摩マッサージ指圧師の

資格を取るために、専門学校に入学しました。

鍼灸師を目指した経緯についてはこちら☆

 

三年間、様々な年代層のクラスメイトと、

資格試験(当時は国家試験ではなく、都道府県知事管轄でした)合格を目指していました。

 

出来たばかりの埼京線に乗って、

四谷まで通って、学んで、

午後はアルバイトをして、

学費以外の交通費やお小遣いを賄っていました。

 

喫茶店や、

外装管理会社の経理、

整形外科でリハビリスタッフ、

割烹料理屋で着物着て仲居業務

夏休みのペンション住み込みバイトなど、

いろいろ経験しました。

 

基本的に、アルバイトは鍼灸関係とは異業種で探しました。

どのみち、鍼灸の世界で生きて行くのだから、

それまでは、いろんな世界を見てみようと思ったからです。

 

新しいことだらけで、いつも必死だったけれど、

バイトは何でも面白かった!

 

 

 

無事に、資格試験に合格して、

専門学校も卒業しましたが、

まだまだ自信が無かった私は、

修業先を探しました。

 

バレエダンサーをよく診ている女性の先生に、

その先生の師匠を紹介していただいて、

就職したのが、

超某有名鍼灸院でした。

 

有名なその先生のことも良く知らないまま、

気がついたら、某有名経絡治療大家へ弟子入りしてた!感じでした。

 

その治療院は、そのころメディアに大きく取り上げられていたので、

予約のキャンセル待ち患者様が、常時100人はいる大人気治療院でした。

 

新人だった私は、受付と電話番、

掃除や食事作りや洗濯などの、

下働きをしていました。

 

とにかく忙しいので、

新人が食材の買い出しをして、

治療院内でまかない料理を作り、

治療ベットの上に、こたつのテーブル板を乗せて、

そこで昼食を済ませるのが日課でした。

 

 

Tuan Hung NguyenによるPixabayからの画像

大都会の真ん中で、

白衣にカーディガン姿で買い出しに行き、

ナイロン袋から大根をのぞかせて歩く時の、

不思議な感情を思い出します。

周囲はバリバリのサラリーマンやOLさんばかりなので、

特別感なのか劣等感なのか、

複雑な感情になっていました。

 

買い出しを終えて院に戻り、

先輩の指示に従って、

食事を作り、食卓を整えます。

師匠が食卓に着くと、

食事が始まりますが、

食事中も、ひっきりなしに電話が鳴るので、

新人の私は、食べる間もなく、

あっという間に午後の患者様が来院され、

午後の診療が始まる毎日でした。

 

治療が終わった後、夜に、

師匠や先輩方に、鍼の練習台になっていただいたことは、

数回ありましたが、

とにかく忙しいので、毎日の仕事をこなすことで精一杯でした。

 

カルテの出し入れも新人の仕事だったので、

カルテはよく見ていました。

 

経絡治療なので、筋肉名が出てくることもなく、

実際、スポーツ障害で受診する患者様にも、

経絡治療で対応でした。

 

スポーツ選手やバレエダンサーの治療を目指していた私は、

あれ?

大丈夫かな?

このままで出来るようになるんだろうか?と、

次第に不安が募るようになりました。

 

そして、

未来を疑ってしまった!

 

若気の至りで、

少し疑念が生じると、加速度的に大きくなり、

あまりの忙しさにも根を上げて・・・

 

結果、

わずか半年で逃げ出すように辞めてしまった・・・

 

苦い思い出です。

 

今では、その超某有名鍼灸院の二代目院長先生と、

普通にご挨拶させて頂くことができますが、

辞めた当初は、

「私の鍼灸師人生も終わった」と

大袈裟に落ち込んだものです。

 

 

それから・・・

改めて、修業先を探します・・・

 

 

求める方向が

やっと少し解ってきたので、

ここから、現代医学的な方向性に進みます。

 

 

 

 

今、振り返ってみると、

 

わずか半年しか、いなかったのですが・・・

 

 

この治療院の、人に対する「やさしい」姿勢は、

本当に素晴らしかった。

 

治療に通って来られる患者様のお顔を見ていて、

師匠や先輩のお人柄から、

日々感じていました。

患者様に対しても、弟子に対しても、その姿勢は同じです。

媚びること無く、保身も無く、虚勢もはったりも無く、

全くの無駄が無く、ただ「やさしい」・・・

 

「やさしい」世界を、

師匠と先輩スタッフが、

創り上げていたんだろうと思います。

 

その感性に少しでも触れることが出来たことは、

私にとって、大きな収穫だったと思います。

この、人の姿勢や感性は、

実際に触れてみないと、

解らないと思うので、

文章で表現しにくいのですが、

 

 

あくまで「やさしい」人の存在は、

人の希望になり得ます。

 

患者様と治療者との出会いは、

ただ一度だとしても、

その患者様の心に、火を灯すことが出来る。

未来を照らす光になり得ると、

そう感じました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続きます。