「痛みの定義」から

先日の新見先生のご講義で、理解が深まりました。

1986年 IASP国際疼痛学会

「痛みは、実質的または潜在的な組織損傷に結びつく、

あるいはこのような損傷を表す言葉を使って述べられる

不快な感覚・不快な情動体験である。」

「痛い」という感覚の経験と、

「やだな」という感情が湧いてくる経験を分けているというご説明と、

「痛み」は改善・消失しても、「やだな」の感情が残ってしまう患者様の例もお話頂きました。

 

ビイールママも

以前、こんな経験をしました。

 

高校生の体操選手

数週間前、鉄棒から落ちて、

腰部を損傷したが、すでに回復。

しかし、練習を再開しても、

なぜか調子が取り戻せず、鍼灸受診。

拝見すると、腰部は痛みも所見も無く、問題ないのですが、

背部の筋と肋軟骨の下部に緊張が強く、

こわばっているように感じました。

話を聞いてみると、

「鉄棒が怖い」と言います。

落下したことの恐怖、再度落下するかも知れない恐怖で、

落下してから、心からのリラックスが出来なかった様子です。

損傷は回復しても、身体は緊張したままだったようです。

身体の緊張を改善すべく、鍼治療を一度行いました。

「その日、よーく眠れて、嬉しかった!」と連絡がありました。

そして、その後問題なく練習に復帰したと、

お母様からご報告を受けました。

 

痛みは回復したけれども、

不快な感情が身体に残った症例だと思っています。

 

鍼治療をしていると、

「よく眠れた(^0^)」

「食べ物が美味しく頂けた🍜」

「お酒が美味しかった。🍺」

「お小水や便が気持ちよく出た。🤣」

そんな感想を良く頂きます。

これら「快」の経験は、

「不快」を一時忘れさせます。

心が「不快」から離れると、

小さな希望が見えてきます。

希望が見えると、そこに向かって一歩踏み出すことが出来ます。

不快があっても踏み出すことが出来ること、

歩むことが出来ること、

先が明るいこと、を知ります。

この経験を重ねられると、

良い方向に向かっていきます。

 

「やだな」という不快があっても、

何となく「大丈夫なんだ」って、安心してもらえると、

患者様の笑顔が見られますね😀